第二章 フローセンサ式 質量流量計とは

熱式センサの中では最も新しい方式である。
計測エレメントを極小化し熱容量を小さくすることで優れた感度を得られるも のである。
半導体製造設備によりローコストで多量の供給も可能である。
ガスに直接触れるために、一般には腐食性ガスの計測はできない。

センサ取り付け方法、計測方式の違いにより以下の4つの方式が存在する。

1. 直接計測方式

管内の壁面近傍にセンサを設置し、上流側をメッシュやハニカムなどで整流し測定する方法である。計測範囲が広くとれ、高精度化しやすい反面、コストがかさむ傾向にある。 熱式センサの中では最も新しい方式である。
計測エレメントを極小化し熱容量を小さくすることで優れた感度を得られるものである。
半導体製造設備によりローコストで多量の供給も可能である。
ガスに直接触れるために、一般には腐食性ガスの計測はできない。

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流量計 構造概略図
図1 構造概略図

 2. バイパス計測方式

下図のようにバイパス部分にセンサを設置した推測式測定法である。キャピラリ式同様、バイパス比率が変化してしまうと正確な測定ができないため圧力変化や偏流に弱く、高精度化しにくい反面、ローコスト化しやすいメリットがある。

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バイパス分流方式
図2 バイパス分流方式

3. 多段流路方式

広い計測範囲と高精度の両立を目指し開発した方法である。
内部に流速差を付けて計測し、それぞれ測定流速域が異なるセンサを取り付けることでさらに広い計測範囲(およそ1000:1程度)が実現できる。
高精度積算が求められるガスの商取引や燃料電池試験用途に適用される。

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製品仕様書 参考図
図3 製品仕様書 参考図

 4. カルマン渦検出方式

唯一、質量流量測定ではない体積流量測定法である。類似した原理としてサーミスタ式渦流量計が存在する。カルマン渦の検出素子として、熱式センサを装着して、渦周波数の検出を行うことで体積流量を測定する方法である。従来の渦式は圧電素子にて渦周波数を検出していたため、特に低流量域の測定感度が低く、広い計測範囲を実現しているのが熱式渦流量計である。デメリットとして、ガス体に含まれるオイルミストなど特に液体成分が付着することで測定感度低下や計測不能に陥ることがある。液体成分が含まれないなガス体においては、計測範囲が広く比較的ローコストで計測が可能な方式である。

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カルマン渦流量系
図4 カルマン渦流量系

 5. フローセンサ式 質量流量計の普及と今後の展開

世界的にも数多くのメーカが参入・商業化を始めたばかりの比較的新しい原理である。半導体式センサの特質を生かし、ローコスト・大量供給が必要な用途から工業用など比較的少量で、高付加価値なものまで様々なものが各メーカで販売されており近年、当社を初め大手3社が参入しており今後、気体流量計の新たな需要増加の一翼を担ってゆくと推測される。ローコストで大量設置が想定される圧縮空気の省エネのための流量測定、燃料電池用の効率計算用センサあるいは制御用センサ、工業用における省エネ目的の管理・制御用途など従来簡便に流量測定が行えなかった分野を中心にさらなる発展を期待している。