接液材料選定表
接液材料の特長
用途およびNo. | 材料名称 | 主成分 | 特長 | 使用推奨環境 | |
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1.ライニング材 | 1.1 | ポリウレタンゴム | ポリウレタン | 合成弾性ゴムで、耐摩耗性にすぐれている。耐薬品性はほとんどない。 | -40℃~+50℃ |
1.2 | ETFE | 四ふっ化エチレン樹脂 | 分子中にふっ素(F)を含有する合成高分子材。PFAに比べて高い機械的強度、耐摩耗性を有するが、耐薬品性、耐熱性で若干劣る。 | -40℃~120℃ | |
1.3 | PFA | 四ふっ化エチレン樹脂 | 分子中にふっ素(F)を含有する合成高分子材。高温ふっ素、溶融アルカリ、ある種のハロゲン化物を除くほとんどすべての化学薬品に耐える。耐熱性にすぐれ、特有の低摩擦特性、非粘着性をそなえる。 | 注)耐熱性は加熱空気中の場合。 -40℃~+160℃ (口径15~200mm) -40℃~+100℃ (口径2.5~10mm) | |
2.電極および接液リング材 | 2.1 | SUS316(L) | Cr : 17%Ni : 13% Mo : 2.25%C : < 0.03%Fe : 残 (SUS316Lの成分) | 弱アルカリ、弱酸性雰囲気で耐食性がある。無機酸、有機酸、塩化物などには使用できない。 | 水(上、下水)、弱アルカリ、50%未満の苛性ソーダなど |
2.2 | チタン | Ti : > 99.3% | 酸化性雰囲気で耐食性がある。とくに、塩素イオンが存在する環境で使用できる。硫酸、硝酸などには使用できない。 | 各種塩化物溶液 「塩化アンモニウム」 「塩化カリウム」 「塩化第1鉄など」 海水など | |
2.3 | ASTM B574(ハステロイC-276相当) | Mo : 16%Cr : 16% Fe : 5 %W : 4 %Ni : 残 | 中程度の酸化性および還元性雰囲気で使用できることから、その使用範囲が広い。硫化物、硫酸などには弱い。 | 各種有機酸、無機酸、アルカリ類など | |
2.4 | タンタル | PFA/ETFEライニング用 Ta : > 99.5% セラミックライニング用 Ta : 90%W : 10% | 強酸化性、強還元性雰囲気で耐食性がある。ただし、アルカリ類およびふっ化物系、発煙硫酸には使用できない。絶縁性皮膜生成の事例が多いため、使用に際し注意が必要である。 | 塩酸、硫酸、硝酸、王水など | |
2.5 | 白金-イリジウム 合 金 | Pt : 90% Ir : 10% | 王水、アンモニウム塩などを除くほとんどの酸、アルカリ類に対して耐食性がある。ただし、高価である。 | りん酸、硝酸、ふっ酸、塩酸、硫酸、アルカリ類 など | |
2.6 | タングステン・ カーバイド | Wc 合金 Ni バインダ | 腐食性流体には使用できないが、スラリーノイズの影響を受けにくく、耐摩耗性にすぐれている。 | 泥水シールド、セメントスラリー、脱水汚泥、土砂スラリー など | |
2.7 | ニッケル | Mo : 15~17% Fe : 4~7% Cr : 14.5~16.5% Ni : 残 | 強アルカリ性流体等に、すぐれた耐食性を持つ。特に苛性ソーダ、ふっ酸には他の金属と比較して極めてすぐれた耐食性を示す。 | 苛性ソーダ、アルカリ性流体 など | |
2.8 | ジルコニウム | Zr : > 99.2% | 幅広い耐食性を有する。特に硫化物に対する耐食性はすぐれている。 | 硫酸銅、ぎ酸、水酸化カリウム など |
選定表利用上の注意
電磁流量計 MagneW™の実際の使用条件における流体の腐食性は、混在する不純物の種類および量、操業条件からくる温度、流速の変動や物体の濃縮などによって異なる場合がありますので、この選定表はあくまでも材料選定の第1段階の手引きとして使用してください。 なお、さらに正確な材料選定を行うためには、実際の使用条件でフィールド腐食試験を行い、耐食性を確認することが必要です。
ライニング材料の選定
電磁流量計 MagneW™のライニング材料には、PFA、ETFE、ポリウレタンゴムおよびクロロプレンゴムがあり、一般的な特性は上記の表に示すとおりです。
なお、クロロプレンゴムの耐摩耗性、耐薬品性はポリウレタンゴムとほぼ同等です。詳細な選定に際しては、接液材料選定表を参照してください。
電極・接液リングの材料選定
電極材料の一般的な特性を上記の表に示します。詳細な選定は、接液材料選定表を参照ください。 チタン材、およびタンタル材を電極として選定する場合には、使用条件について十分ご注意ください。
接液リングの選定
接液リングも流体と接液するので電極材料と同じものを選ぶことが理想ですが、接液リングは接液すること(流体アースをとる)を目的とするため、耐食性は電極材より劣ってもよいとしています。
表中記号の意味
選定表中の記号は次のことを意味します。
記号 | 内容 |
---|---|
◎ | 使用可能(推奨材料)1)、指示濃度で100℃以下 |
○ | 濃度、温度など流体条件に制限あり、指示温度まで使用可 |
△ | 耐食性は上記記号より落ちるが2)、接液リング材料としてのみ使用可3) |
× | 使用不可 |
無記号 | データなし |
※1 ※2 ※3 | 一部アプリケーションで注意が必要ですので、別途お問い合わせください |
1) 電極材に対する使用可能限界は腐食率0.05mm/年以下とします。 また、腐食率が上記以下であっても、粒界腐食あるいは応力腐食を起こす恐れのあるものは使用不可とします。
2) 接液リング材に対する使用可能限界は腐食率0.5mm/年以下とします。
3) 指示温度まで使用可。指示がないものは100℃までとします。