1. 測定原理
MagneW™ 電磁流量計はファラデーの電磁誘導の法則を測定原理としています。 ファラデーの電磁誘導の法則は「磁界の中を導電性が動くと、その物体内に起電力が発生する」というものです。
これを電磁流量計の測定原理として応用する場合、導電性物体の代わりに導電性流体を考え、発生した起電力を外部に取りだすために電極を設けます。
図1 の場合、平均流速v (m/s)と起電力es (V)の関係は次のようになります。
となり、流量Q (m3/s)に比例した起電力es (V)を得ることが出来ます。
基本式である(1)式は理論上から誘導される式で、これには次のような条件が必要です。
- 磁界B 、両電極軸、パイプ軸は互いに直交する。
- 流体は電気的に均質である。
- 流体は非圧縮性である。
- あらゆる物理量はZ 方向には一様とする。磁界は管軸方向に無限の長さにわたって存在する。
- パイプの内壁は絶縁物であり、ここでの流速はゼロである。
- 流れは中心対象であり、半径r のみ関数である。
- 磁界は均一でその大きさは一定である。
2. 流量と起電力
流体の流れと、これによって発生する起電力の関係を流路の断面について観察します。
図2は流路断面の点P だけに流体の移動がある場合の起電力と電流の関係を示しています。 この場合のように点Pだけに流体の移動があると、この点にはフレミングの右手の法則に従って、磁束密度B 、流速V に比例した起電力E が発生します。 この起電力E は導電性流体を伝わって、電極a 、b によって検出されます。これは点P のみについてみた場合ですが、流体が流路を流れている場合の各点に発生する起電力は、同じ大きさであっても電極によって検出される時には、重みWが異なり図3に示すような関係になります。 1 測定原理の項で述べた条件の下では、管中心から一定の距離γでの重みの係数を平均すると、γには無関係で一定であり、W=1.0になります。 このように、流れが管軸に対して対称であれば、流体の粘度、密度、温度、流速分布、電気電導度には関係なく、(1)式のように流速すなわち流量を測定することができます。
3. 励磁方式
電磁流量計の励磁方式には、70 年代には直流励磁方式と交流励磁方式がありましたが、当時工業用電磁流量計はほとんど交流励磁方式でした。交流励磁方式は一般的に、ゼロ点の安定性に欠け、直角位相雑音の影響を受けやすい、電源雑音の影響を受けやすいなどの欠点がありました。 MagneW™ 電磁流量計では、これらの欠点を除くために世界で初めて矩形波励磁方式を採用しました。
矩形波励磁方式は図4 に示すように、定電流回路よりの定電流をパルス発生回路よりの指令パルスによりスイッチングして正負の定電流を励磁コイルに流しています。
このパルス発生回路からの指令パルスは電源周波数の偶数分の一に同期しているので、電源雑音の影響を受けにくくなっています。
同様に、 励磁電流は図5に示すように、励磁コイルの時定数によりスイッチング時に遅れを伴った後に定電流になります。
磁界は励磁電流に比例するので、励磁電流と同様の矩形状になります。
起電力は磁界の強さと、平均流速に比例するが電極と流体とリード線で構成される閉回路に鎮交する磁束度の変化により、電磁誘導雑音が誘起され図5に示されるような信号になります。
この流量信号が定常値に達した時点でサンプリングするので電磁誘導雑音の影響を受けません。
正しい精度を得るための基本的条件
- 電気的に均一な導電性の流体であること:非導電性では起電力の測定が困難です。
- 管内が満水であること:充満していない体積部分が誤差になります。
- 流体は均質であること:導電率の分布が不均一ですと,発生起電力がアースに短絡する割合が変化し,誤差となります。
- 流体が非磁性であること:流体が磁性体であると,磁束密度分布が変化するので補正が必要です。