
第三回 よく使われる制御方法 その2
1.はじめに
前回、よく使われる制御方法として、ON/OFF制御と比例制御について説明しました。どちらの制御方法を使用するかは、求める制御結果の安定性によって使い分け、あまり制御結果の安定性を求めない場合はON/OFF制御を用い、より安定した制御結果を求める場合は比例制御を用いることが一般的である、と説明しました。
比例制御には、制御対象、操作端の種類によって時間比例制御、連続比例制御、位置比例制御の3つに別れ、今回はそれぞれの比例制御について説明します。
2.時間比例制御とは?

図1 時間比例制御の概要
時間比例制御はON/OFF制御の形態をとった比例制御であり、設定値を中心とした比例帯の中で、ONとOFFの時間の長さを、設定値との偏差に比例させて変えていくものです。(図1を参照)
このONとOFFの1サイクルの時間は一定で、この時間をサイクルタイムと呼んでいます。このサイクルタイムを仮に10秒と設定したとすると、現在値が比例帯より低い範囲にある場合は、調節計(温調計) からの出力は常にONの状態となります。また、現在値が比例帯より高い範囲にある場合は、調節計(温調計) からの出力は常にOFFの状態となります。
比例帯内では温度により、ONとOFFの時間比率は、設定値との偏差に比例して変わります。例えば、現在値が設定値より低い場合、ON時間が7秒だとすると、OFF時間は3秒となり、ON時間の方が長くなります。現在値が設定値に達した場合は、ON時間、OFF時間とも5秒で、同じとなります。以上の関係を表に表わすと、表1のようになります。
項目 | 現在値の状態 | 操作量 |
---|---|---|
比例帯外 | 比例帯より低い | 常にONの状態 |
比例帯内 | 設定値より低い | ON時間が長く、OFF時間が短い |
設定値 | ON時間とOFF時間が等しい | |
設定値より高い | ON時間が短く、OFF時間が長い | |
比例帯外 | 比例帯より高い | 常にOFFの状態 |
表1 時間比例制御の制御状態
3.時間比例の制御結果

図2 電気ヒータの制御
ここで時間比例の制御結果をON/OFFの制御結果と比較してみましょう。図2のように、電気ヒータの制御で考えてみると、ON/OFF制御の場合、電気ヒータはON点とOFF点(設定値)で切り替わってしまうので、検出遅れなどによる行き過ぎ量は大きくなってしまいます。これに対し、時間比例は、現在値が比例帯内に入ると、設定値との偏差に応じてONとOFFの時間比率を変えていくため、図3のように、ON/OFF制御と比較して、検出遅れなどによる行き過ぎ量は小さくて済みます。

図3 時間比例とON/OFF制御の比較
しかしながら、時間比例制御はON/OFF動作を繰り返す制御形態を取る為、サイクルタイムが長すぎたりすると、行き過ぎ量が大きくなり、制御結果が悪くなる。逆にサイクルタイムが短すぎると、ハンチングが起こり、制御結果は安定しない。また、ON/OFF動作が頻繁に起こる為、操作端の寿命を縮めてしまうことにもなります。
従って、時間比例制御では、適切なサイクルタイムの設定が良好な制御結果を得るための重要な要素となります。
時間比例制御には、リレー出力と電圧出力があり、前者は電磁開閉器と、後者はソリッドステイトリレー(SSR)と組み合わせて使用されます。一般的にリレー出力のサイクルタイムは10秒から60秒程度で、このサイクルタイムを短くしすぎると電磁開閉器の寿命を縮めることとなります。
逆に、電圧出力は、無接点リレーのSSRと組み合わせて使用されるため、サイクルタイムは2~4秒程度と短く、寿命の問題もないため、良好な制御結果が得られます。
4.連続比例制御とは?
連続比例制御とは、図4のように現在値と設定値との偏差に応じて、調節計(温調計) から連続的な出力を出して、制御することを言います。電気ヒータの制御を例にとると、調節計(温調計) を4~20mAの出力が連続的に出るタイプとし、その出力をサイリスタユニットと呼ばれる操作器に入力し、電気ヒータを連続的に制御することを言います。
連続比例制御は、時間比例制御のようなON/OFFの制御形態をとっていないため、滑らかに操作量を変化させることができ、より安定した、精度のよい制御結果を得ることができます。特にプラント、半導体製造装置、精密試験装置など、高い安定性、精度を求めるアプリケーションで多く用いられています。
以下に連続比例制御の一例としてサイリスタユニットによる電気ヒータ制御(位相角制御)について説明します。

図4 連続比例制御の特性
図5は、サイリスタユニットを使用した電気ヒータの位相角制御を示す結線例です。調節計(温調計) の電流信号に従い、ドライブアンプから負荷電源の位相角に合ったトリガパルスが出ます。このパルスがサイリスタ(トライアック)のゲート回路に印可され、サイリスタがONとなります。そして、負荷電源の電圧がゼロになるまで、サイリスタはON状態となります。
このように調節計(温調計) からの出力に応じて、トリガパルスを出す位置(時間)を比例的に変え、電気ヒータに流れる負荷電流を連続的に制御します。

図5 サイリスタユニットによる位相角制御

図6 電気ヒータに流れる負荷電流
5.位置比例制御とは?
位置比例制御とは、時間比例制御、連続比例制御と同様に、現在値と設定値との差、すなわち偏差に比例した操作量で働く制御動作を言い、調節計(温調計) のリレー出力で電動調節弁を開閉し、ガスや重油の燃焼炉等の制御を行うために用いられます。

図7 燃焼炉の制御例
図7に示すように、設定温度が700℃、比例帯は設定値の±100℃(600~800℃)の範囲に設定したとします。熱電対による検出温度が比例帯より低い温度範囲(600℃以下)にある時、電動調節弁のモータの開度は100%(全開)になります。

図8 位置比例制御
検出温度が600℃以上になって比例帯内にはいると、偏差に比例した操作量が働きます。例えば、図8に示すように検出温度が650℃の時、モータの開度は75%となり、検出温度がちょうど設定値に達した時、偏差がなくなりモータの開度は50%となります。
更に検出温度が設定温度を越え、高くなると、モータの開度は徐々に閉じて行き、比例帯の上限値である800℃を越えると、モータの開度は0%(全閉)となります
一般的にモータの開度は0~160°の範囲で回転し、操作量50%の時、モータ開度は80°となります。
次に位置比例制御の調節計(温調計) (2個のリレー接点出力)とモジュトロールモータ(リレー接点入力)がどのように動作し、
制御をしているかについて説明します。
図9は、調節計(温調計) から出す操作量とモータの開度がちょうど同じとなり、調節計(温調計) 内部にあるブリッジ回路が平衡状態にある場合を示しています。この場合、モータを駆動させる為の調節計(温調計) (温調計) のリレー接点K1とK2はオープン状態となり、モータは停止しています。
次に温度が下降し、調節計(温調計) からの操作量とモータの開度にずれが生じ、ブリッジ回路の平衡がくずれると、調節計(温調計) のリレー接点K2が閉じ、モータの端子(2)-(3)間に電圧が印可され、モータは開方向に回り始めます。モータの回転に伴い、フィードバックポテンションのワイパは、ブリッジ回路を再平衡する方向に移動します。モータが温度降下分だけ回転すると、ブリッジ回路は再平衡して、調節計(温調計) のリレー接点K2が開き、モータはその位置で停止します。
逆に温度が上昇すると、温度が下降した時と同様に、調節計(温調計) からの操作量とモータの開度にずれが生じ、ブリッジ回路の平衡がくずれ、調節計(温調計) のリレー接点K1が閉じ、モータの端子(1)-(3)間に電圧が印可され、モータは閉まる方向に回り始めます。モータが温度上昇分だけ回転すると、ブリッジ回路が再平衡し、リレー接点K1が開いてモータはその位置で停止します。

図9 位置比例制御によるモータ駆動
実際のモータの動作は、図10に示すようにモータの分解能力があるため、ステップ状に変化します。モータは、温度変化がαだけ変化すると、βだけ動作し、温度変化がαより小さい場合は、モータは動作しません。このαは、フィードバックポテンションメータの有効巻数によって決まり、多い方が分解能力が高く、制御精度が良くなります。
また、制御精度は比例帯の大小によっても異なり、小さいほうがモータの開閉動作が頻繁に起こり、制御精度は良くなりますが、極端に狭くするとハンチングを起こしてしまい、モータの製品寿命を縮めてしまいます。逆に比例帯を大きくしすぎると、温度変化が大きく変化しない限り、モータは動作しないため、制御精度は悪くなります。

図10 モータの動作
6.まとめ
今回、時間比例、連続比例、位置比例の3種類の比例制御方法について説明しました。それぞれの制御方法は、制御する操作端、求める制御結果によって使い分けられ、一般的に連続比例制御がもっとも制御結果が良くなります。
次回は、制御の歴史が始まって以来、制御の主役を務めているPID制御について説明します。