HARTホストとHART機器間でやりとりされるコマンドには、以下のように「ユニバーサル」、「コモンプラクティス」、「デバイススペシフィック」などの種類があります。
ユニバーサル | コモンプラクティス | デバイススペシフィック | |
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内容 | 全てのHART機器で実行が必要なコマンド | 全てではないが、多くのHART機器で実行が望ましいとされているコマンド | 機器固有の診断機能など、メーカ個別の対応が許されているコマンド |
意味 | 機器管理上、最低限必要な情報 | ユーザにとってメリットのある情報 | 機器の強みとなる情報 |
例 | 機器基本情報の取得(TAG、機器タイプなど)、機器の持つ4変数(PV,SV,TV,QV)の取得 | 機器レンジの書き込み、電流出力指示、リセット | バルブ診断など |
HART通信機器は主変量以外に複数の計測値(Dynamic変数=HART変数)を持っています。上位ホストからHART通信機器にHARTコマンドを送ると、ベンダーを問わずHART変数を取得できます。
コマンド | 内容 | 備考 |
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Command 3 | PV,SV,TV,QVの4変数と単位(+電流値)を取得 | 全てのHART通信機器がサポート、変数マッピングはベンダ依存、後からマッピングを変更できる機器もある |
Command 9 | 最大8個までの変数と単位を取得 | バージョン7以上の全てのHART通信機器がサポート |
Command 33 | Command 9で取得する8変数のうち任意の4変数 | サポートしてない機器あり |
診断機能付きのHART機器の場合、一般的なHART機器よりもHART変数が多く、HART機器の健康状態の把握に有効です。
HART機器 | 一般的なHART機器の変数 | 診断機能付きHART機器の変数 |
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差圧発信器/圧力発信器 | 差圧、静圧、デバイス温度 | 差圧、静圧、デバイス温度、変動周波数 など |
コリオリ式流量計 | 質量流量、密度、温度、積算値、デバイス温度 | 質量流量、密度、温度、積算値、デバイス温度、振動回数 など |
スマート・バルブ・ポジショナ | 実開度、デバイス温度、偏差 | 実開度、デバイス温度、偏差、動作距離積算、閉位置 など |
pH計 | pH値、電極抵抗、参照抵抗、液温度 | pH値、電極抵抗、参照抵抗、液温度、予測寿命日数、通算利用時間 など |
アズビルの代表的なHART通信機器が提供するHART変数
(例) Command3を利用する場合
製品名 | 形番 | HART Ver. | PV | SV | TV | QV |
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差圧発信器/圧力発信器 | JTD9□□,JTG9□□, JTA9□□, JTC9□□, JTE9□□, JTH9□□, JTS9□□, GTX□□, PTG□□ | HART5 | 圧力 | 基板温度 | ||
電磁流量計/2線式電磁流量計 | MGG□□□,MTG11□,MTG15A | HART5 | 流量 | |||
マルチバリアブル式渦流量計 | AX2□□□ | HART5 | 自由に設定変更可能 |
代表的なHART通信機器は主にフィールド機器とシステム製品があります。